こんにちは、社員のやまだです。
最近、決算書について勉強しているのですが、「決算書から何が読み取れるのか?」がハッキリ分からず。。
そこで、どこかの決算書を分析をして何が分かるのか試してみよう!と思い立ちいました。
とりあえず「出版社」にしてみよう!と不意に思い立ったのですが、なかなか公開している出版社がなく・・・。^^;
そんな中、最大手といわれる角川さんが決算書を公開されていたので、2014年3月の通期決算(単位:百万円)から見て行きたいと思います。
ちなみに角川さんは「株式会社KADOKAWA」という名称になっていますね。
昨年ドワンゴと提携して作った統合会社KADOKAWA・DWANGOの子会社、という形になっています。

貸借対照表(バランスシート)


過去5年分のが公表されていました。
↓は、最新のものをバランスシートにしたものです。

純資産・・多いぞ?あれっこんなのってアリ?(^-^;;;)
決算書に関する本を色々読んでいてもこんなに純資産の部の割合が大きい会社見たことがありません。。

損益計算書(PL)


同じく過去5年分のPLです。震災の前後の年に落ちてしまっている純利益は、今は上がって行っているようですね!

2013年度の総資産(総資本)からどれだけの売上が出たのかを表す図にしてみました。
資産以上の売上は作れていないようです。

キャッシュフロー計算書

営業活動によるキャッシュフロー … 【+】13,176
投資活動によるキャッシュフロー … 【+】965
財務活動によるキャッシュフロー … 【-】-1,891
そして「現金及び現金同等物期末残高」は30,808。
手元のキャッシュには余裕ある状態だと思います。
ここで「財務活動」でマイナスになっているのは、配当金が多かったからのようです。

ジャンル別売上高比較

では、ここからは様々な事業を展開する角川さんが具体的にどんな事業を展開し、
どこで儲けられているのかを見てみます。
過去2年間のデータが公開されていました。

連結売上高は少し下がっているようですが、大きな変化は特に無いようです。
ネットデジタル部門だけが伸びていますね!
図にするとこのような割合になっています。

書籍関連での動き

テルマエ・ロマエが大ブレイクしましたが、その後の主力作品の育成に少々手こずり気味?
2014年3月にはWebコミックサービスの「ComicWalker」というを開始しています。
無料で角川のマンガ作品が読め、アプリも無料のようです。これは調べるまで知らなかったのですが、ゲームで大ブレイクしている「艦隊これくしょん」って、「角川ゲームス」が開発したんですね。コミカライズに発展しているようです。

雑誌/広告関連

雑誌広告収入が回復し、返品率の改善したとのこと。収益性は回復しつつあるけれど、雑誌販売額の減少は止まらないようです。厳しい・・
今後も、固定費の削って、採算の合わない所を整理はせざるを得ない状況のようです。
また、2014年1月には日本コカ・コーラ(株)と協力し、スマホ向け無料週刊誌「週刊ジョージア」を創刊しています。CMで見かけますね。これは「ネット・デジタル関連」部門かと思いきや「雑誌関連」にカウントされるんですね。なかなか他にない売り込み方をしているので、評判が気になります。聞くところによると、グラビアのクオリティは高いそうですが…(笑)

映像関連

アニメ作品や固定ファンが付いている映画が特に売れているようです。
「シネコン事業の売却、配給映画のコストコントロールを徹底した」とのことで、思い切って選択と集中を行った結果、売上高は下がったものの、安定した収益が確保できたそうです。

ネット・デジタル関連

電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」での売上高を伸ばしているようです。
積極的なキャンペーンを展開し、新規顧客の開拓による市場の拡大も続いています。
電子書籍ストアKindleなどの競合と比べられつつも、最新アップデートは好評だったようですし、ファンが獲得できているようですね。今後の展開に期待が持てそうです。

海外関連

台湾での出版事業を行っているそうです。(知りませんでした…)
より地域に合った事業を加納にするために、現地の連結子会社を売却したそうです。
結果、売上高は減少したそうですが関係会社株式売却益を特別利益に計上したそうです。

収益性指標


<分析用>
【B】固定資産 =65,016
【C】受取手形 + 売掛金 =36,482
【D】たな卸資産 =14,641
【E】資本 =110,931

危険度分析

「私でももっと面白いほどわかる決算書(宝島社)」という書籍で紹介されていた企業の危険度分析の式に当てはめて数値を出してみました。
どうなるでしょうか?
●【A 売上高】÷【1 総資産】
総資本回転率:0.97回転 →収益性=標準
●【2 流動資産】÷【3 流動負債】×100
流動比率:253.2% →支払能力=高
●【現金・預金】÷【3 流動負債】×100
当座比率:90.7% →緊急支払能力=標準
●【A 売上高】÷【C 受取手形 + 売掛金】×100
売上債権回転率:4.1回転 →未収金の回収能力=やや低
●【A 売上高】÷【D たな卸資産】
商品回転率:10.3回転 →在庫の適性度=良
●【A 売上高】÷【B 固定資産】
固定資産回転率:2.3回転 →設備投資への適性度=やや低
●【B 固定資産】÷【E 資本】×100
固定比率:58.6% →設備投資への支払能力=高
特に大きな危険は無いようです^^
問題点を挙げるとすれば、「売上債権回転率」と「固定資産回転率」の数値が低いところでしょうか。